発行日:2024年08月10日
2024年8月の税務
8月13日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
9月2日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の消費税・地方消費税の中間申告
○個人事業税の納付(第1期分)(8月中において都道府県の条例で定める日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)(8月中において市町村の条例で定める日)
夫婦間の役務提供についての課税
◆親族間の役務提供は原則、経費不算入
夫はITエンジニア、夫と同一生計の妻はWEBデザイナーです。それぞれ独立した個人事業者として事業を行い、確定申告しています。このような中で夫が妻の受注した顧客向けECサイトの構築業務をサポートした場合、妻が夫に支払う役務提供の報酬は、妻の事業所得の必要経費に算入されません。また、夫は収受した報酬も自身の事業所得の収入金額に算入されず、サポートに要した夫の経費は、妻の必要経費となります。この取扱いは、夫婦など同一生計親族間で所得を分散させる租税回避を防止するために設けられた制度です。
◆弁護士夫婦事件で問われたもの
独立した親族間の役務提供を所得金額に反映させることの是非が争われたのが、いわゆる「弁護士夫婦事件」です。
裁判では、それぞれ独立して弁護士業を営む夫婦間において、妻弁護士が夫弁護士に提供した役務に対する報酬は、所得税法に規定するとおり、夫の事業所得の必要経費とならず、妻の事業所得の収入金額にならないと判示されました。
また、親族からの役務提供を所得金額に反映させない取扱いと、親族以外の他人からの役務提供を所得金額に反映させる取扱いとの不整合が憲法14条違反となるかについても、裁判所は、これらの区別は合理的であり、憲法違反ではないとしました。
◆青色事業専従者給与等は必要経費算入
一方、夫の事業に妻や子供などの親族が青色事業専従者等として従事する場合は、帳簿記帳と一定規模の就業、相当な対価などの要件をもとに、夫が親族に支払う給与は夫の事業の必要経費となり、支払を受けた親族の収入金額となります。これも親族間の役務提供ですが、透明性を担保に例外として所得金額への反映を認めています。
◆個人単位課税への転換が契機に
親族間の役務提供の経費不算入も、青色専従者給与制度も、戦後、世帯単位課税から個人単位課税に移行する中で、補完措置として設定されました。しかし、現代は副業をはじめ多様な働き方が求められ、夫婦共働きや夫婦間での協業も普通に行われます。独立した事業を適正な対価で営む親族間の取引を所得計算から除外することは、時代の流れに整合しなくなっている面もあります。青色事業専従者として雇用し、法人成りして給与を支払うことでも経費算入は可能ですが、違和感はぬぐえません。
相続に備える道路調査
相続する土地に建物を新築できるのか、自身で活用するにしても売却するにしても、事前に確認する必要があります。
◆2m以上の接道義務が鉄則
最初に押さえておくことは、建物を建てるために、その敷地が建築基準法の道路で幅員4m以上のものに原則2m以上、接道する必要があることです。
建築基準法の道路の主なものは、国道、県道、市道など、道路法の道路(42条1項1号道路)、分譲宅地を造成するとき、事業者等が築造し、市町村長などの指定を受けた位置指定道路(42条1項5号道路)、建築基準法施行時に建物があった幅員4m未満の2項道路(42条2項道路)などです。
◆役所で道路の種別を調査する
前面道路の種別は市町村の建築指導課などで確認できます。また、道路の幅員や敷地との境界は、道路管理課などで確認できます。自治体によっては、WEBサイトに道路図を公開していますので、役所まで出向かず調べることもできます。
建築基準法の道路の種別は、指定道路図などで確認し、道路の幅員や敷地との境界点については、認定道路図、道路区域線図、道路台帳平面図などで確認できます。
◆敷地と道路の境界標を確認する
敷地と道路の境界には、自治体が道路図を作成する際、プレートやコンクリート製などの標識を設置しています。他に金属鋲の場合もあります。これらの標識は、図面だけでなく現地で目視して確認しましょう。
2項道路の場合は、建物、門扉、擁壁等を道路の中心線から2m後退させねばならず、土地家屋調査士などに測量を依頼して境界を確定させる必要があります。その際、道路として提供する部分を分筆して登記する、さらに、自治体にセットバック部分を寄付することもあります。
セットバックする際は、道路部分に越境している門扉、擁壁などを地権者の負担で取り壊すことが必要になります。また、自治体が主導して地権者との狭あい協議によって道路の拡幅を進めるときは、市町村から費用を助成してもらえます。
◆固定資産税は申請すれば非課税になる
セットバックして公共の用に供する道路とした土地は、固定資産税が非課税になります。市町村が分筆登記された内容を把握し、非課税としてくれる場合もありますが、通常は地権者から自治体に、非課税としてもらえるよう申請を要します。